Falluja, April 2004 - the book
現代企画室刊『ファルージャ 2004年4月』を引き継ぐ形で、
同書共訳者2名がファルージャおよびイラクについてのニュースなどを
英語から日本語にして紹介しています。
本文中の翻訳部分の語句は、原文に即するようにしています。
転送・転載はURLを付記して、ご自身の判断でどうぞ。トラバ・リンクなども連絡等不要。
※トラックバックはなるべく記事内に当方記事へのリンクを含む形でお願いします。
※あなたのウェブログを宣伝するためだけの当方へのトラバはお断りします。
background-image: *
*2006年10月1日:
このウェブログは移転しました。
*teanotwarのRSSリーダー稼動中です。イラクのブログなどを登録してあります。
Falluja, April 2004 - the book

【重要なお知らせ】

2006年10月1日:
このウェブログは移転しました。
ここにあるすべての記事を、移転先に転記しますので
(記事を見つけるためには、お手数ですが、移転先で記事検索をご利用ください)
コメント・トラックバックなどは移転先の記事へお願いいたします。
**********
このブログが閲覧できないときは,ミラーサイトをお試しください。
また、このウェブログ内で、一部デッドリンクが発生しています(→詳細)。


土井敏邦さんのドキュメンタリー,『ファルージャ2004年4月』
「30歳」と字幕の出るこの人は,40歳に見える。アリさん。自宅の瓦礫の上で。「布団をここから引っ張り出したんです。」

自分の子の頭にあいた穴から,自分の子の脳を見た母親。「でも私に何ができるだろう。何が言えるだろう。神にお祈りするのみです。」

米軍の爆撃で肉片みたいになった幼い姉妹2人のお人形さんは,きれいなワンピースを着ていて,白い肌をしていて,金髪だ。

椰子の木に囲まれた農家。夜中の1時から米軍はこの農家を取り囲んで戦車や火器で攻撃した。米軍兵士は家族を殺し,また負傷させ,そして家に入ってきて,戸棚から弟の財布を取り,中に入っていた現金とIDを持ち去った。

米兵は,I'm sorryと言ったのだという。

――破壊された人間の身体を前に,それを破壊した人間は,I'm sorryと言えるのだろうか。

――それを言うとき,人の心はどのくらい破壊されているだろう。聞かされるときは。

土井敏邦さんのドキュメンタリー,『ファルージャ2004年4月』を試写会で見てきた。(当ウェブログ過去記事を参照。)

2004年4月,米軍は25日にわたって,バグダードの西およそ60キロの場所に位置する歴史ある地方都市,ファルージャに包囲攻撃を加えた。

包囲攻撃の間,ファルージャにいたジャーナリストはひとりだけ――アルジャジーラの記者だけだった。

「停戦」となった直後の5月1日,日本からもジャーナリストがファルージャに入った。ひとりは朝日新聞の川上記者。そしてもうひとりが,昨年殺された小川功太郎さんだった。

5月9日にイラクに入った土井敏邦さんは,バグダードのホテルでたまたま小川さんに会った。そして話をした。

小川さんはその後もイラクで取材を続け,そして帰ってこなかった。

小川さんは,包囲攻撃後のファルージャに入った最初の日本の映像ジャーナリストだった。

小川さんのファルージャ取材の文章は,『月刊現代』2004年6月号に掲載されている。映像は,地上波テレビでは放送されなかったようだ。

地元の有力者が「ひとりで動くのは危ない」とコーディネーターを手配し,土井さんはファルージャに入った。しかし,取材を続けること1週間で,土井さんはファルージャを去らねばならなくなった。土井さんだけでなく,すべてのジャーナリストがファルージャにいられなくなった。当時ファルージャをコントロールしていたムジャヒディーンが,一切のジャーナリストの立ち入りを禁止するとのお達しを出した――ジャーナリストとして入ってくる者の中に,スパイ活動をする者がいるというのが理由だった。

土井さんが今回発表された映像『ファルージャ2004年4月』は,その1週間の取材で撮影された素材を55分にまとめたものである。

55分もあったとは思えなかった。ただただ圧倒された。

「これは『作品』としては考えていません」と,上映前に土井さんはおっしゃった。「ファルージャで何が起こったのかを歴史的証言として残すことが目的です。」

そしてそれは確かに「証言」だった。人の顔,人の声,人のしぐさ。破壊された家屋,めちゃくちゃになった家具。

ナレーションもなく(字幕を使用),効果のための音楽もない,それは「記録」。

そこには「ザルカウィ」はいない――いねぇよそりゃ。私が英BBCで確認したところ,「ザルカウィ」がファルージャと関連付けられて語られたのは,2004年6月が最初だ(当ウェブログ過去記事)。そして今,「ザルカウィ」はラマディに現れたりしているらしいが,同じ頃,ラマディからずっと離れたアル=カーイムでは「ザルカウィ掃討作戦」が行なわれていた。

米軍の「精密な爆弾」は,家1軒をむちゃくちゃにする程度に精密。中で寝ていたお母さんや子どもを肉片にする程度に精密。

「停戦」後に撃たれたらしい男の子の横たわるベッドの頭の方,壁についているコンセントは,英国のコンセントと同じ形状だ。

墓地と化したサッカーグラウンド,「〈女の子の名前〉の腕」と書かれた墓標――この子の“形”は腕だけだった。

人々はお墓にまんべんなくきっちりと水をかけている――日本のお墓参りと同じように,彼らは墓に水をかける。

病院のベッドに横たわる男の子は,バチバチのまつげに縁取られたとても大きな美しい目をしている。まつげの長い陰の下,くっきりとした黒い瞳は左右に動く。まばたきをするけれども,彼には声も言葉も,動作もない。彼の脳にはたくさんの破片が埋まっている(レントゲン写真)。彼の傍らで母親が話をする。「まばたきはしますがそれだけです。この子は眠っているのです。」

その声は彼には聞こえているだろうか。

アウトプットを奪われた少年。言語も声も,動作すら奪われて。

お母さんに「聞こえているよ」と伝えることもできずに。

その少年は,DVDのパッケージの裏面にいる。

まだ少し,私には言語化できないことがある。




いけだ

コメント(7)| Track back(0) | 2005-05-19 03:49:15 | ファルージャの状況
■ 私 買って観たい。(不歌舞観聴戒に反するかもしれないが)
怒りに燃えて文章を書きます。
(私の妹はそうは思わないらしいが、私の怒りは正偏知・イエス・ムハンマドの怒りの代弁だと思う。)

「戦争犯罪」というときに、その言葉はもうすでに犯罪を許していると感じることがある。

「戦争のときにはこんなことがいつでも起こる」だの「人類は戦争の歴史を繰り返してきた。」だの「キリスト教とイスラム教の戦い」だのと述べる者は、犯罪を憎んでいないと感じる。

犯罪は要するに犯罪。
「なにも免罪にはならないぞ。人道に照らして考えろ」と思う。

「殺し・盗み・強姦をイエス様は禁止したぞ。
イエス様はブッシュと米軍に対して殺し盗み強姦を許していないぞ。邪悪なブッシュよブレアよ小泉よ。蝮の末裔よ。」と思う。
noranyanko (2005-05-19 21:00:21)

■ この映像の入手方法について
>noranyankoさん
上記記事はまだ前半部分だけで,ヴィデオ/DVDの入手について詳細を書いていないのですが,土井さんのウェブログにチラシが掲載されています。
このチラシに申し込み先が書いてあるので,ご参照ください。価格は3500円です。
http://www.doi-toshikuni.net/blog/archives/000025.html

私はこの映像を見て,怒りに燃えてというより,ただただ呆然としました。映像に出てこない「英国の嘘」やそのほかもろもろのことを思い,あれのためにこれがあった,ということがどうしても結びつかないというのが,言葉としては最も近いと思います。
http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/542
いけだ (2005-05-19 22:11:25)

■ TBさせていただきました
 はじめまして、仁といいます。
 チェチェンの状況をほとんど知らないまま来ました。学びたくてTBさせていただきました。よろしくお願いします。現実をしっかり認識していきたいと願っています。
青柳仁 (2005-05-21 00:44:54)

■ 益岡さんによる文章
上のエントリはいけだが書いたものですが(しかもまだ書きかけなんですが),同じフィルムについての益岡さんの文もアップされました。
http://teanotwar.blogtribe.org/entry-56c37bc3778a3025356ad9eb4748a105.html

>青柳仁さん
コメント&トラバどうもです。が,ここはイラクの情報のウェブログですので,チェチェンについては『チェチェン総合情報』さんなどをご覧いただく方が確実かと思います。
http://chechennews.org/

http://chechennews.org/books/index.htm
によりますと,イラクのファルージャで起きたことと,チェチェンのサマーシキ村で起きたことは相似しているそうです。
いけだ (2005-05-21 13:52:12)

■ オンラインでの入手方法
このドキュメンタリー映像は、オンラインで、
http://www.rakuten.co.jp/arekore/573996/1074912/
から買うことができます(送料500円)。

↑益岡さん経由の情報。
http://teanotwar.blogtribe.org/entry-56c37bc3778a3025356ad9eb4748a105.html
いけだ (2005-05-23 21:17:10)

■ フライヤーの写真
フライヤー(ちらし)の写真をアップしました。
http://teanotwar.blogtribe.org/entry-09ba4cbbfc0ca80b772f2eeba114cef7.html
いけだ (2005-06-05 10:30:28)

■ 英文での簡単な紹介
普段英語でコミュニケーションを取っている友人・知人に知らせたかったので,土井さんのフィルムについて,英語で簡単な説明を書き,英語版のフライヤーがどんなものかを説明する目的でデジカメで撮影した画像を添えて,ウェブページにまとめてあります。

英語は読めるが日本語は読めない人に説明したい場合に,リンクするなどしてご利用ください。
http://www.geocities.jp/nofrills_web/translation/fal_doc_d/

なお,購入方法などの日本語での説明としては,下記URLが最もよくまとめられていると思います。
http://palestine-heiwa.org/note2/200505221559.htm
いけだ (2005-06-12 01:25:32)

名前 :
タイトル :
URL :
コメント :
<< 【業務連絡】地図を集めてみました。/本家の表示が変な件について。
ダール・ジャマイル『イラク:破壊』が日本語化されています。 >>