ある米軍スナイパーが語ったこと――『自分が撃った奴は撃たれて当然の奴らばかりだった。別に何とも感じない』
ある米軍スナイパーが語ったこと――『自分が撃った奴は撃たれて当然の奴らばかりだった。別に何とも感じない』
A US sniper's story: 'Everyone I shot deserved it. It doesn't bother me'
Jason Burke
Sunday September 12, 2004
The Observer
http://observer.guardian.co.uk/iraq/story/0,12239,1302773,00.html
ジェイムズ・ウィルクス技術兵,25歳,テキサス州フォート・ワース出身。彼はメントールの煙草をすいながら,キャンプ・イーグルの自分の兵舎の外で,焼けつくような陽光を浴びて座っている。防護壁(blast walls)と監視塔と鉄条網の向こう側はサドルシティ――この夏の間じゅう,ラディカルなシーア派指導者【=ムクタダ・アル=サドル師】を熱烈に支持する戦士たちが,ここキャンプ・イーグルの米軍部隊と追撃戦を繰り広げてきたバグダードの一地区――である。取材を行う前日にもまた,狭くゴミの散乱した路地で戦闘が起きた。そこは何ヶ月にもわたってウィルクス技術兵の猟場となってきた場所だ。
ウィルクス技術兵は狙撃手である。彼は任務についてから6ヶ月以内で3件の「殺し(kills)」を達成したことを誇りに思っている。最初の「殺し」は4月初め,シーア派民兵が押さえていた陣地への急襲を行なったときだった。
「夜だったので視界は悪かったが,400メートルほど離れた地点の建物の入り口で,1丁のAK-47を持った男が玄関灯に照らし出されるのを目視した。自分は照準器を通してその男を見張っていた。どこにでもいるイラク人という感じの男だった。自分はその男の下腹部を撃って倒した。」
2度目の「殺し」は7月。キャンプ・イーグルが700発以上の迫撃砲で攻撃されてきた。迫撃砲は夜間に発射されることが通常である。
ウィルクス技術兵は兵舎の屋上から,700メートルほども離れたところで不審な行動をしている男たちの一群を確認した。
「自分たちは1時間にわたってその男たちを監視した。ひとりの男が武器を背負っていることを確認し,ひきがねを引いた。男は倒れた。」
遠く離れたところから殺すことは「奇妙だ(weird)」とウィルクスは言う。彼は低賃金のウェイターの仕事を6年続けた後に,軍隊に入った。「銃撃戦とは違う。銃撃戦は本当に恐ろしいし,考えごとはしない。けれども(遠距離の場合は),スコープを覗いて,しかも誰も自分がそこにいることを知らない,それが力の感覚をもたらす。アドレナリンがどっと出てくる。こんなのがいいのかどうかは自分でもよくわからないが。」
同僚たちはウィルクスの成功を喜んでいる。The First Cavalry's Task Force 12に所属するほぼ全員が,戦闘を経験している。何十人もが負傷し,何人かが殺されている。長時間のパトロール中に攻撃を受け,張り詰めた恐怖と興奮がただのルーティーンを破る。
Observerの取材陣はルート・プレデター(Route Predator)のパトロールに同行した。ルート・プレデターは恒常的な爆弾攻撃や襲撃が起きているサドルシティへ続く主要な通りで,パトロールは8時間に及ぶ。
パトロールに出る前に不規則な迫撃砲攻撃があったが,それを除いては特に何もなかった――だがその次に行われたパトロールでは,路上爆弾が爆発し,2人が死亡,3人が負傷した。ハーマン・グルームブリッジ軍曹(35歳)は部下を率いて穴のあいたアスファルト道路を車で行き来していた。
グルームブリッジ軍曹はあるモスクを指差した。そこから数週間前にガンマンたちが攻撃してきた。大学の学費を払うために入隊した21歳のジーザス・セイルズは,この部隊の予備役狙撃手である。セイルズは数週間前にひとりの男を撃っている。「何も変な感じはしなかった。ただやったぜって思っただけで。」
ウィルクスもまた同様に無感動である。「時には罪悪感を感じるべきだろうなと思うこともあるが,実際には罪悪感は感じない。自分が撃った奴らは撃たれて当然の奴ばかりだった。別に何とも感じない。」
今,デーヴ・グロスマンという元軍人・心理学者の書いた『戦争における「人殺し」の心理学』という本(ちくま学芸文庫,1500円,ISBN 4-480-08859-8)をちょこちょこと読んでいるのですが,上のオブザーヴァーの短い記事と,内容がオーバーラップします。ただ,ウィルクス技術兵の語彙は何も特別なものはなく(軍隊の隠語らしきものがない),「スラントだのグークだのといった隠語で殺す相手を呼ぶことで罪の意識がなくなる」といったグロスマンの指摘よりもずっとずっと深いところで,言い知れぬ恐さを感じます。
ヘブロンで作戦に従事したイスラエルの若い兵士たち(Breaking the Silenceという写真展に参加した人たち)の率直なコメントもまた,思い出されます。
投稿者:いけだ






